アスリートのオーバートレーニング症候群に対する鍼灸治療
過剰な運動やトレーニングなどから
初期症状として原因不明の競技成績の低下として現れる、
オーバートレーニング症候群は見落とされがちになりますが
慢性疲労からくる立派なスポーツ障害に分類されます。
初期症状として
・易疲労感
・原因不明の競技成績の低下
・全身倦怠感
・睡眠障害
・頭痛
・食欲不振
・体重減少
・集中力の欠如
・うつ状態 などが挙げられます。
オーバートレーニング症候群は
運動により生じた生理的な疲労が十分に回復の過程をとられる事なく
積み重ねられた結果として起こる
慢性疲労の状態として考えられています。
これはタイプが2つに分類されます。
タイプ1 交感神経緊張型(バセドウ病型)
:このタイプはオーバートレーニングの典型的なタイプと言われています。
特徴は
・起立性低血圧
・運動時の最大血中乳酸濃度の低下
・運動後の安静時血圧の回復遅延
・安静時心拍数の増加
・安静時血圧の上昇
・競技力低下
・体重減少
・食欲低下
・睡眠障害
・神経過敏および情緒不安定の増強
・トレーニングおよび競技欲望の喪失
・傷害頻度の増加
・最大パワーの低下
タイプ2 副交感神経緊張型(アジソン病型)
特徴
・起立性低血圧
・運動中血中乳酸濃度の低下
・運動時最大血中乳酸濃度の低下
・運動中の低血糖
・体力低下
・安静時心拍数減少
・運動後の安静時心拍数への回復促進
・粘液質的行動
などが挙げられます。
オーバートレーニング症候群の予防は
起床時の心拍数を定期的な測定や
心理テストのような『POMS検査(心理的プロフィールテスト)』などを実施を行うことです。
また運動後10分経過しても
心拍数が100拍/分以下になっているかなど
運動後の心拍数のチェックも大切です。
肉体的、精神的な過剰なストレスがかかると
脳幹にある視床下部ー脳下垂体系の機能不全が起るとされています。
急な成績の低下などで自尊心を失い
症状がさらに悪化したり、見逃されるケースも少なくありませんので、
起床時の
バイタルチェック(心拍数や血圧測定)や、体重測定、食欲の有無などの
チェックを習慣化し、
客観的にご自身の状態を把握しておくことも
予防する上で重要になるかと思います。
心身の疲労から
このように自律神経のバランスを崩してしまう
スポーツ障害は少なくありません。
女性であれば
月経困難症などの症状が現れることも
よく聞く話です。
これらの症状が現れたとき、
スポーツの専門的な知識の持つ
スポーツドクターに早期に診察していただくことも
大切なことです。
このような症状のある選手に対して
鍼灸治療でのアプローチも私は有効だと思っています。
同じようなケースで
当院を受診される選手に対して、
鍼灸治療をベースに治療を進めてまいます。
東洋医学的に見ると
陰陽のアンバランスがこのような症状を招いているとされています。
2つのタイプに共通する証は
・気血両虚
そしてプラスして
交感神経緊張型は
・陰虚症
副交感神経緊張型は
・陽虚症
が重なっている状態です。
様々な症状が現れているものは
いくつかの証が重なっているケースがほとんどです。
このように自律神経失調症などへの
アプローチは鍼灸治療ですることができます。
また当院では鍼灸治療にプラスして
栄養指導やメディカルアロマセラピーも併用し
心身のバランスの調整をアプローチさせていただいております。
オーバートレーニング症候群は
軽症から重症までありますが、
慢性疲労性のスポーツ障害は
長引くケースが多くありますので
早期に発見し、
治療や対策を行なっていくことがとても大切になります。
スポーツ障害には、
フィジカルだけではなく
このように神経的な不調が存在することを
皆様には知っていて欲しい所です。
アスリートの皆様が
目標に向かって日々頑張る姿を見て
私も勇気をいつもいただいております。
アスリートの皆様が
健康な状態で
競技に取り組むことができることを心から
お祈り申し上げます。